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庭のコラム 庭のコラム・辻元志郎が語る、外構・庭のとっておきの話(6)

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今回は、アプローチ、駐車スペース、リビング前テラスに段差がなく、フラットになったデザインをご紹介しましょう。敷地条件は、東入り南向き玄関、道路との高低差を100mmと仮定しています。
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このプランでは東入り南向き玄関で、リビング前の庭、アプローチ、ガレージを段差のないひとつの庭に演出しました。車がある時、ない時も庭として、駐車場を感じさせない工夫をしてあります。

リビング前とアプローチは一体となり段差がなく、区切りもありません。和室前のデッキへは一部だけ透かし垣を利用した部分壁で、玄関前アプローチとつながります。一般的には、これらの要素を塀やフェンスで区切る事が多いのですが、区切らないことで庭として多くの可能性がひろがります。

東西に長い庭の奥行き感を出しているのは、正方形の敷石と切り石、そしてデッキ上に置かれたオブジェの効果です。このラインが一直線上に並ぶことで、奥行き感が生まれ、ガレージ・アプローチ・テラス前が一体となった庭が生まれます。

この一体感の演出にはいくつかのしかけがあります。ひとつづつ、詳しく説明しましょう。

【しかけその1】
敷地レベルを200mmあげるーー発想転換によるバリアフリー
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普通、道路と敷地は100mm以上の高低差があります。この高低差が敷地内へ雨水などが侵入するのを防ぎますが、更に200mmアップさせ、道路との高低差を300mmにするのです。

すると、玄関ポーチ、アプローチ、ガレージ、リビング前テラスという、従来別々であったそれぞれの要素が
すべて同じ高さの土間となります。このことが庭に一体感を生み出し、機能上よりいっそう便利になるのです。

【しかけその2】
デッキとのつながりーー絵になる目隠しのテクニック
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和室前デッキとアプローチのつながりは、塗り壁と透けて見える竹垣で部分目隠しをし、和室からもつくばいと背景の樹木を望むことができます。
この部分が、玄関ポーチからの眺めのポイントであり、また駐車場を庭に見立てる効果ともなっています。

【しかけその3】
車がオブジェになるーープロデザイナーの神髄
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テラスに置かれた「愛車」を主役にさせる壁デザインとシンボルツリー。樹木が外構のシンボルとなりつつ、道路からの視線を遮る目隠しの役目を果たします。ここでも敷地を200mmアップした事により愛車の足元までが引き立ち、リビングからの視線効果を上げています。
一般的に、門柱のすぐ横にシンボルツリーを配することが多いのですが、この場合は少し内側に寄せ、「愛車が主役」となるリビングからの景観を演出します。

【しかけその4】
引き戸形門扉ーー門扉・門柱が風景を変える
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立面の門と引き戸は以前お話しました引き戸形門扉です。開閉で風景は変化します。外構として全体を見ていただいても、車がある時は庭にディスプレイしている様に。ない時は、木々と門柱、そしてデッキ前の壁のバランスが全体をひとつの風景として感じる事ができます。

今回は、建物以外の敷地空間をひとつの風景としてまとめるとともに、機能を共有化させ使いやすさと敷地の有効活用を考えました。

次回はこれを更に一歩進めた事例を紹介いたします。

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辻元志郎 プロフィール
1942年生まれ
「エクステリア」が周知される以前より住宅の外廻りに魅せられ独修。機能性を重視した独自のデザインを乞われ、エクステリアメーカーの門扉・フェンス等のデザイン開発に関わる。
大手ハウスメーカー モデル住宅のエクステリア設計を多数手掛け、個人住宅の庭・造園 エクステリア設計の第一人者との評を受ける。
1984年 エクステリア・造園 設計事務所 SUTADIO dim を設立。大阪国際花の博覧会(郷土デザイン部門)最優秀賞受賞。近年はエクステリア・造園を志す若手の教育に力をそそぐ。
update:,05,2011   | trackback:0 | category:庭のコラム
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